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納骨はいつまでにすればいいですか?

平成27年11月

 まず初めは、わりとたくさんの方から質問される「納骨の時期」についての記事です。まず結論から申しますと、絶対にこのタイミングで納骨をしなければならないという決まりはありません。ですので、納骨の時期は基本的に住職と相談しながら各家で決めていけばいいと思います。ただ、世間的には四十九日の忌明け法事や、一周忌の法事に合わせて納骨される方が多く、私も何もなければその慣例にならってご案内することが多いです。各お寺のご住職や、その地域によっても考え方が違うことがあるので、まずは菩提寺の住職に相談しましょう。
 ふた昔ほど前までは、早めに納骨しないと成仏できない、などと言って納骨を急かすご住職もたくさんいらっしゃいました。しかし、故人の年齢や家族内での立場、死因などによっても、ご遺族の方のお気持ちは様々です。お骨が手元から無くなるということに耐えられない方もたくさんいらっしゃいます。また、始めてご先祖様を出されるお宅に早くお墓を買って納骨して下さいというのも、場合によっては無理があるでしょう。それゆえ、ご遺族のお気持ちや家の事情に留意しつつ、納骨の時期を一緒に考えたいというのが、住職である私なりの考え方です。
 納骨はお骨を土に還すことで、故人の安寧を願う大切な仏事です。故人に執着するという意味ではなく、故人のことを大切に思うからこそ、前向きに考えていただきたいと思います。

曹洞宗のお焼香の仕方

平成28年3月

 お葬式や法事の際に、ご焼香の作法についてお迷いになる方も多いのではないでしょうか。これも宗派によっていろいろ決まりがあるようですが、ここでは曹洞宗の焼香の作法をお伝えします。
 焼香をする場合、まず仏前に向かって合掌一礼を致します(導師様の前で焼香する場合は仏前に寄る前に導師様に合掌一礼をします)。そして親指、人差し指、中指の三指で抹香をつまみ、左手を軽く添えて額の近くに捧げ、故人の冥福などを念じながら炭にくべます。次に同じく三指で抹香をつまみ、今度は額に捧げずにそのまま炭にくべます。曹洞宗の焼香はこの二回です。始めの一回を「主香(しゅこう)」と呼び、ここで祈りを捧げ、二回目を「従香(じゅうこう)」と呼び、主香が消えないように上に被せる意味があります。焼香が終わって最後にもう一度仏前に合掌一礼を致します(場合によってその後導師様にも合掌一礼)。お寺の行事で参列者が多いとき、時間の関係で「ご焼香は一回でお願いします」と声をかけられる場合がありますが、最初の一回に大きな意味がありますので、悪しからずご理解いただければと思います。
 これが曹洞宗のご焼香の作法になります。他宗の作法を私が語るのも申し訳ないので、またの機会に菩提寺のご住職に伺ってみて下さい。

曹洞宗のお経・修証義(しゅしょうぎ)

平成28年7月

 曹洞宗独自のお経は何ですか?と問われれば、『修証義』が挙げられます。法事の際にはいつも読誦(どくじゅ)するので、知っている方も多いと思います。
 『修証義』は大本山永平寺を開かれた道元禅師の著作『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』から、一部を抜粋、編集して在家信者向けに編まれたもので、全五章から成ります。もともとは明治二十一年に高名な在家修行者によって草創されたものですが、明治二十三年、当時の両大本山住職によってさらに練磨され、今の形となりました。
 一章では、生や死を明らかにするという一大事から目を背けず、仏の教えに従って生きるべきこと。二章では、まず自身の行いを省みて改めていくこと。三章では、戒律(日々の生活規範)を守って生きていくべきこと。四章では、自分の修行を考える上でも、まず他の人を思いやることが大切だということ。最後に五章では、仏の教えに出会えたことを喜び、感謝して、日々を懸命に精進していくべきことが示されています。坐禅についての内容が含まれていないため、修証義だけで曹洞宗の教えを語るのは難しいですが、ひとつの方向性として大変良くまとまったお経です。
 お仏壇のお参りの際、ご先祖様のために一章ずつでも読んでみて下さい。

お線香の本数は?

平成28年11月

 おつとめの際の線香は何本立てたらいいですか?と、よく聞かれることがあります。お寺の住職さんや地域によって違う、と言えばそれまでですが、いちおう「曹洞宗」としては一回のおつとめに一本でよいとされています。
 一般的なおつとめの形としては、まずロウソクを灯し、線香を一本立てたのち、お鈴を三度鳴らします。そして合掌一礼し、般若心経などのお経を読誦し、終ったらまたお鈴を三度鳴らして合掌一礼をする。読誦するお経に特に決まりはありませんが、曹洞宗だと「般若心経」や「大悲心陀羅尼」、「修証義」や「舎利礼文」、「妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈」などをよく読みます(全部読む必要はありません)。お経を読む時間がないときは、「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」と三回唱えるだけでも大丈夫です。
 お線香の本数の話に戻ると、私も月参りのときなど基本的には一本だけ立てます。ただし法事の際などは、本尊様へのご供養の前に一本、年回忌のご先祖様へのご供養の前に一本、その他のご先祖様方へのご供養の前に一本と、お経の意味合いによって一本ずつ計三本立てます。考え方としては一本ですが、少し丁寧にする場合はそうしています。
 最初にも書いた通り、これが絶対ということはありませんので、曹洞宗としての基本だけご理解いただければと思います。

四十九日までお仏壇は閉じるの?

平成29年4月

 お葬式のあと、家のお仏壇は閉じた方がよいのか。かなりたくさんのご質問を受けるので回答してみます。結論を申しますと、これも地域やお寺さんによって考え方が様々で、完全な正解は言えません。ですので、あくまで一般的で、なるべく仏事に沿った考え方として書かせていただきます。
 四十九日までお仏壇を閉じるという習慣は、神棚の祀り方がお仏壇まで波及したものではないかと考えられています。すなわち、「死」や「死者」に対する「穢れ」の思想を持つ神道では、家族が亡くなると神棚に半紙を被せて隠したり、喪中の神社詣りを嫌ったりします。その習慣がお仏壇と混同され、仏教のお仏壇も閉じるという習慣が生まれたとされているのです。
 しかしながら、仏教には神道のような考え方はありませんので、お仏壇は開けておいていただいて全く問題ありません。むしろ、お仏壇にはご本尊様や他のご先祖様方もお祀りされていますので、開けておいて懇ろにご供養した方がいいとさえ言えるでしょう。また神道と違い、ご遺族自身が善い徳を積むことで故人に供養ができるよう、お寺(の行事)には積極的にお参りする方が良いと言えます。
 最初にも書きましたが、地域や菩提寺によっては必ず閉じなければいけないお宅もあると思います。そういう場合は、お仏壇を閉じた状態で、お供え物などのお祀りだけでも毎日してみてはいかがでしょうか。

お葬式までの主な流れ

平成29年11月

 自身の家でお葬式を出すことは度々あることではないので、喪主の皆さんは手探りで段取りをされると思います。ここではお寺とのやり取りに絞ってお伝えしたいと思います。(なお、以下は安養寺や近隣地域の一般的なやり方ですので、あくまでご参考までにご覧ください)

① ご家族がお亡くなりになったらまずお寺にご一報下さい。日程を決めた後の連絡になると住職の都合がつかない可能性があります。
② 葬儀社さんにご連絡下さい。大筋の段取りは葬儀社さんにしていただけます。日程を決める時にはお寺にご連絡いただき、空いている日程で調整していただきます。
③ 枕経の日程を決め、主に自宅で枕経をつとめます。この時に故人の生年月日などの必要事項や役僧様の数、ご生前のことなどをお伺いするので、お話をお聞かせ下さい。また、お布施に関するお話もここでさせていただきます。
④ お通夜をつとめます。
⑤ お葬式をつとめます。お葬式の三十分ほど前に住職や役僧様方が控室に入りますので、喪主の方は葬儀社のスタッフの案内で控室に挨拶に来ていただきます。この際、お布施をご用意いただければ役僧様方にも直接お渡しできます。
⑥ 火葬場にて収骨の時間が決まり次第、初七日(お葬式当日のお寺参り)の時間を決めます。四十九日までのことは初七日の際にお話しするので、まずはお葬式に集中して下さい。

 以上、お寺関係に絞った話ですが、参考になれば幸いです。実際にお葬式の際は、よく相談して進めていきましょう。

月参りはいつまでするの?

平成31年4月

 月参りとは、特定のご先祖様の月命日に菩提寺の住職を招いて供養のお経をあげる毎月のお参りのことです。この月参りはいつ始めるものなのか、また、いつ終わるものなのか。今回はそうしたお話をさせていただきます。
 月参りを始めるタイミングに決まりはありませんが、お葬式の後から始める場合がほとんどです。「亡くなってしばらくはほとけ様も落ち着かないだろうから」、「お世話になったから、できるだけのことをしてあげたい」。理由は様々ですが、多くの方がお葬式の後、四十九日法事が終わったあとで始められます。
 また、月参りを終えるタイミングですが、こちらも決まりはありません。三回忌に合わせてという方が一番多いように感じますが、人によっては「自分が元気な内は」と、ずっとつとめられる方もいらっしゃいます。皆さんのお気持ちに合わせ、住職と相談しながら決めていけばいいかと思います。
 他にも「祥月命日(しょうつきめいにち)」というお参りがあります。月命日が日にちの命日なのに対し、祥月命日は月も含めての命日で、年に一回つとめられます。三回忌までは月命日としてつとめて、それ以降は祥月命日でつとめる。こうしたやり方もあります。
 お葬式にせよ法事にせよ、少しでも省略して楽をしたいと考えてしまう今日のご時世ですが、ちょっとした「お気持ち」の表れとして、月参りをつとめてみてはいかがでしょうか。